ADoAIR.jp

医療関係者の方々へ 「喘息・COPD(慢性気管支炎・肺気腫)」に関する情報をお届けします。

トップ > 疾患情報 > ガイドライン > 成人喘息 > 喘息管理の国際指針(GINA2006)

疾患情報

成人喘息 喘息管理の国際指針(GINA2006)

GINAガイドライン2006要綱
【監 修】 GINA Executive Committee / GINA Science Committee
帝京大学医学部内科 教授 大田 健
喘息管理の国際指針であるGINA(Global Initiative for Asthma)のガイドラインが新たに改訂されました。これまでの「重症度に応じた治療法」から、コントロールの評価に基づく「コントロールレベルによる治療法」へと大きく改訂されています。コントロールの評価に用いる指標としては、日中の症状、活動の制限、夜間早朝の症状、発作治療薬の使用、呼吸機能、喘息増悪が挙げられています(表1参照)。

GINAガイドライン2006「喘息の評価、治療、モニター」に関する主なポイント
喘息のコントロールレベルを、「コントロール良好、コントロール不十分、コントロール不良」の三段階に定義した。(表1参照)
喘息治療の目標を、下記(表1)の定義にある「コントロール良好」のレベルを達成し、維持することとした。
これまでの「重症度に応じた治療法(ステップ1〜4)」から、「コントロールレベルによる治療法(ステップ1〜5)」へと改変した。
治療ステップ3以上の第一選択治療として 「吸入ステロイド薬と長時間作用性吸入β2刺激薬」を推奨した。
「コントロール不良」の場合は、良好になるまでステップアップ、「不十分」と判定された場合にもステップアップを考慮する。

表1:喘息のコントロールレベルの定義
  コントロール良好
(すべての
項目が該当)
コントロール不十分
(週にいずれかの
項目が該当)
コントロール不良
日中の症状 なし
(週に2回以下)
週に2回超 「コントロール不十分」の項目が週に3つ以上当てはまる
活動の制限 なし ある
夜間早朝の
症状
なし ある
発作治療薬の
使用
なし
(週に2回以下)
週に2回超
呼吸機能※3
PEF or FEV1
正常範囲 <80% 予測値、
もしくは自己最良値
喘息増悪 なし 年に1回以上※1 週に1回※2
【注釈】
※1: 喘息増悪が起きた場合は、その都度治療ステップを確認することとする
※2: 喘息増悪が起きた週は、「コントロール不良」とする。
※3: 5歳以下の小児の呼吸機能は参考にならない。


コントロールレベルを基準にした喘息治療の管理(6歳以上の小児、成人)とその進め方
(1) 「コントロールレベルの定義」(表1)に沿って喘息のコントロールレベルを把握する。
(2) 把握したコントロールレベルを、「コントロールレベルを基準にした喘息治療の管理」(表2)に当てはめて、現在の治療ステップの見直し(ステップアップ、ステップダウン)を行う。
(3) コントロールレベルが「不良」と判定された場合は、現在の治療をコントロール良好に到達するまでステップアップする。「不十分」と判定された場合にもステップアップを考慮する。
(4) コントロール良好な状態が少なくとも3ヶ月間続いた場合、治療のステップダウンを考慮する。
(5) 表2で紫色の帯()が、各治療ステップの第一選択の治療法となる。
(6) 症状が週に1回以上認められる持続型喘息の無治療患者には、原則的に治療ステップ2から治療を始める。但しコントロール不良のレベルが当てはまる場合は、治療ステップ3から始める。

表2:コントロールレベルを基準にした喘息治療の管理
ステップ1 ステップ2 ステップ3 ステップ4 ステップ5
喘息治療に関する教育、環境のコントロール
短時間作用性
β2刺激薬の
頓用
短時間作用性β2刺激薬の頓用※1、※2
喘息管理薬の
選択
1つを選択 1つを選択 1つ以上を
追加※3
1つか
両方を追加
低用量吸入
ステロイド薬
低用量吸入
ステロイド薬

長時間作用性
β2刺激薬※1
中/高用量吸入
ステロイド薬

長時間作用性
β2刺激薬※1
経口
ステロイド薬
(必要最低量)
ロイコトリエン
受容体拮抗薬
中/高用量吸入
ステロイド薬
ロイコトリエン
受容体拮抗薬
抗IgE治療※4
  低用量吸入
ステロイド薬

ロイコトリエン
受容体拮抗薬
テオフィリン
徐放製剤
 
  低用量吸入
ステロイド薬

テオフィリン
徐放製剤
   
【注釈】
※1: 長時間作用性β2刺激薬、短時間作用性β2刺激薬は「吸入薬」が推奨されている。
※2: 他の発作治療薬として、吸入抗コリン薬、短時間作用性経口β2刺激薬、一部の長時間作用性β2刺激薬、短時間作用性テオフィリン薬がある。短時間/長時間作用性β2刺激薬を連用する場合は、吸入ステロイド薬を併用すること。
※3: ステップ4の治療では、[中/高用量吸入ステロイド薬+長時間作用性β2刺激薬]をまず選択した上で、ロイコトリエン受容体拮抗薬とテオフィリン徐放製剤のうち、一方もしくは両方を追加すること。
※4: 本邦では未承認


5歳以下の小児に対する喘息治療の管理
現段階では、エビデンスが少ないので、治療管理の詳細を打ち出すことは難しい。ただし、5歳以下のいずれの年齢でも治療ステップ2では低用量吸入ステロイド薬から始めることが推奨される。

●吸入ステロイド薬の
投与量
プロピオン酸
フルチカゾン
低用量
(μg/日)
中用量
(μg/日)
高用量
(μg/日)
成人 100-250 >250-500 >500-1000
小児 100-200 >200-500 >500
注) 本邦については、プロピオン酸フルチカゾンとして成人には通常1回100μg、小児には通常1回50μgを1日2回吸入投与する。なお、症状により適宜増減するが、1日の最大投与量は成人で800μg、小児で200μgを限度とする。
GINAガイドライン2006の概要をまとめたスライドはこちら
(ダウンロードして、ご講演の際などにご活用ください)